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「知ろう!小児医療 守ろう!子ども達」の会
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日常の診察にこそ活かせるメディエーション

 『知ろう!小児医療 守ろう!子ども達』の会
               代表 阿真京子

ひょんなことから生まれた和田仁孝先生、中西淑美先生との貴重なご縁をきっかけに、当会でのメディエーション講座が実現しました。ご多忙のなか、「是非!」という私たちの願いを叶えてくださった両先生には、本当に感謝しています。
当日は、小さな子どもを持つ会員のお母さんたちが12名参加しました。会員とはいえ、一般のお母さんのため、テーマは身近なもののほうが良いと考え、ワークショップのテーマは「夫と妻」となりました。
メディエーションについて学ぶのは、もちろんみな初めて。参加したお母さんたちにとっては、とても新鮮な内容だったようです。講座後、「双方の意見を中立的立場で聞くって難しい!」「メディエーションは、コミュニケーションにおいてとても大切なこと。ごく当たり前にできるようになりたいと思った」「今後、医療の世界でメディエーターが増加し、本当に納得のいく医療が受けられるように、その必要性を市民の私たちが広めていけたら……」「両者から自発的に解決策を出すことを目指していることがよくわかった。しかし、非常に難しいことだと実感した」「一般的にメディエーターが広まれば、日本が変わると思ったほど素敵な経験だった」といった感想が寄せられました。
私自身、小児医療の現場にこそ、メディエーションの技術が活かせるのではないかと常々思っていましたが、実際に講座を受け、そのことを再認識しました。
子どもの病気について知らず、知らないからこそ不安が強い「お母さん」、病気についてはプロだけれど、現場の多忙さなどの理由から、病気などについて一から親に教えたり、説明したりすることが非常に難しい「医師」、この両者には大きな溝があると感じています。そんな現状のなかで、“子どもの病気を治す”という同じ目的の両者が寄り添うことができればどんなによいかと考え、私なりに行動を起こして生まれたのが同会です。小さい子を育てている親たちが子どもの病気について小児科医から直接学ぶ・知る機会となる講座を企画・実施したり、全国でそのような講座が広まるよう活動したりしています。
会の発足当時、お母さん側からは医師に対する不満の声が、多く寄せられていました。しかし活動が進むにつれ、「コミュニケーションをとろうと自らの態度を積極的に変えたら、先生の接し方も変わった」という声が聞かれるようになり、講師を引き受けてくださった医師からは「お母さんたちと医師は、子どもの病気に向き合うパートナーである」という言葉を聞くことができました。互いの意見や考えの違いを認めるには、まず「互いの真の思いを知ること」だとつくづく実感したのです。
子どものことで受診した際、ちょっとした疑問や不安、そして不満を素直に言えないことは、やがて医師と親の間での大きな溝の源になります。決して、お母さんたちも不満を言いたいわけではありませんし、医療者もそうだと思います。状況をよく考えたり、見直してみると、「(相手が)なぜそのように不満に思ったり、不安を感じたのかよくわからない」それが実情なのではないでしょうか。そんなとき、互いに直接伝えられなくても、気持ちを受けとめてくれるメディエーターに気持ちを打ち明けられたら、どんなにいいでしょうか。互いの状況や思いは違うという当たり前の事実に気づかせることができる、それがメディエーターの役割だととらえています。そして、自然に相手の気持ちに気づけたとき、心からの「ありがとう」や「申し訳ない」といった言葉が出てくるのと思うのです。
講座で学んだ「対話を紡いでいく人が真のメディエーターであり、異なることを認めることができること、自分の先入観を置けることが、真のメディエーター。メディエーターは解決しない。解決するのは、両方の当事者」という言葉は重く、講座を一度受けた限りで、この技術を習得できる道は遠いと思いますが、きっとこの先に光があると感じています。
医療者だけではなく、市民にこそメディエーションは必要です。今後、この概念や技術が広まり、当たり前の世の中になることを願っています。