NPO法人 地域医療を育てる会
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「市民連携講座」参加体験記・・・鍵本博子さん

病院で最期を迎えるのが当たり前の今日、遺族が悲しみのなかで病院に対し不信感を抱くことは、とても不幸なことです。父の死後そう感じていた時、報道で医療メディエーターのことを知り、私でもなれるかしら、とネットで見つけた中西先生の講座に早速申し込みました。でも残念なことに、病院関係者しか受講できないというお返事。ところが同時に、なんと「市民向けの講座を開くので是非どうぞ」とお誘いをいただきました。
会場の最寄駅の福俵は無人駅。Suica 片手に「これ、どうするの??」とうろうろ。見たこともない機械にタッチしてひと安心。そんな見知らぬ土地の東金病院に、期待と不安いっぱいで向かいました。
初めて出会う方々の中で、何もわからないまま、どんな内容なのかとドキドキしながらの参加でしたが、その内容の濃かったこと! 中西先生の、早口だけど人を惹きつける4 時間(?)にわたる講義と演習を一気に終えて、「こんな素晴らしい仕事はない」と確信しました。
1つの事実が立場や生き方によって違って見えるため、対立は起きてしまう。でもメディエーターが入ることで、「人は皆違う」ということに両者が気づき、尊重し合い、お互いが納得した上で、謝罪も許しもできるという夢のような役割だと改めてわかったからです。もちろん簡単なことではないけれど、そのためのスキルと理論を習得できれば夢ではないと思いました。
患者が医療者を信頼し、医療者も心の重荷から解放される環境をつくるために、医療メディエーターの役割は、これからの医療と福祉に欠かせないものだと思います。早く一般にも広く知れ渡り、全ての病院に優れたメディエーターが置かれるようになればいいなと思いました。また、弁護士法の規制をなくし、私のような院外の者でもメディエーターになれるような改革も期待したいです。
こうして、偶然にも飛び込ませていただいた第1回の市民のための講座が、私の人生の再スタートラインになりました。