日本医療メディエーター協会設立に寄せて
現在、医療の現場では、患者さんと医療者との信頼関係が失われ、医療不信というべき状況が加速しているといわれています。とりわけ、事故が発生したような場合には、コミュニケーションのすれ違いから紛争が激化してしまい、それがまた、患者側の医療不信を強め、逆に医療側では萎縮医療が進行するという悪循環がみられるようです。
いくつかの国では、事故や苦情が発生した場合に、患者さんと医療機関の中間に立って、対話の場を設け、納得のいく解決を促進する役割の人材が整備されています。
わが国でも、これまで医療機能評価機構などで、院内医療メディエーター(医療対話仲介者)と呼ばれる人材が養成され、医療の現場や患者さんに次第に受け入れられてきています。この実績を踏まえ、今後、その整備に取り組んでいくことは重要な課題であると考えています。それによって、事故・紛争発生の初期から、医療機関が情報を隠さず、誠実に対話の場を設け向き合っていくという対応が促進され、医療の信頼回復に貢献すると考えられるからです。
そうしたなか、院内医療メディエーターの専門技法や倫理性について、基準を設け認定していくシステムが構築されることは、その普及と信頼性の獲得にとって不可欠の課題であり、今回、そうした機能を担う組織として日本医療メディエーター協会が設立されることは、たいへん有意義なことであると考えます。
院内医療メディエーターの方々の活躍によって、患者さんと医療者の信頼関係が回復され、それが納得のいく紛争解決をもたらし、ひいては萎縮医療や医療崩壊を防ぐことにつながっていくのではないかと期待しています。医療メディエーターの育成、普及、その相互研鑽へ向けて、日本医療メディエーター協会がますます発展されることを祈念いたします。
2008年3月20日
厚生労働大臣 舛添要一

